ますますニーズが高まる看護職。求められるスキルについて日本看護協会副会長の井伊久美子さんに聞きました。

多角的な学びに触れて「地域包括ケア」の核に

2025年には、団塊の世代が75歳以上となります。後期高齢者の急増による社会構造の大きな変化を乗り越えるために、今、医療をはじめとする制度の改革が進められています。

これからの医療と介護について、国は「自宅や施設など、利用者本人の住まいを中心に提供する」という方針を打ち出しています。長期入院ではなく在宅療養が基本となり、関係職種が地域単位で連携する「地域包括ケア」が重視される時代がやってきました。看護職はこの連携の核となる必要があります。未来を担う極めて重要な職種と位置付けられており、活動の場はますます広がっていくでしょう。医師の手順書をもとに一定の判断をして特定行為を行うための研修制度も始まりました。訪問看護はもちろん、地域の様々な場で活躍する人が増えています。

そして、看護職は、新型コロナウイルスのような未知の感染症や大規模災害などの健康危機にも、最前線で対応していかなくてはなりません。

現在の大学での看護教育は、各大学の創意によって多角的な学習環境が整ってきています。高い臨床実践能力、チームの核となるマネジメント能力、的確な予防啓発の知識を中心に様々な学びが得られるでしょう。看護系大学への進学を考える皆さんにはぜひ総合的な力を身につけてほしいと思います。

日本看護協会では、基礎教育をより充実させるための働きかけや夜勤のガイドライン作成などを通して、多くの看護職が力をつけ、働きやすくなる環境づくりに取り組んでいます。看護は時間をかけて深く探究できる職業です。この道を志す皆さんが知識と経験を積み、長く携わってくださることを願っています。(談)

井伊久美子(いい・くみこ)/兵庫県立看護大学(現兵庫県立大学)大学院博士後期課程修了。日本看護協会常任理事、専務理事を経て2018年から副会長。共著に『生活習慣病予防のためのグループ支援』など。